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茨城県 筑波山で登山・ハイキング/コース&観光ガイド

Journal筑波山ジャーナル

2019.12.31| つくばトレイルガーディアンズ

筑波山登山道の見守り&メンテナンス活動を行う新団体「つくばトレイルガーディアンズ」始動!

2019年12月に筑波山登山道で活動する新団体が発足!Share the Trailの精神で、筑波山をもっとみんなが楽しめる山に!

東筑波ハイキングコースのトレイル入り口で記念撮影する「つくばトレイルガーディアンズ」立ち上げメンバーたち。今回参加できなかったメンバーもいますが、まずは8人でキックオフ!

筑波山・霞ヶ浦エリアの観光強化を図る茨城県のプロジェクト「筑波山・霞ヶ浦広域エリア観光連携促進事業」をきっかけに、少しずつ新たな盛り上がりを見せている筑波山。

今回は、この事業をきっかけに出会ったメンバーたちにより2019年12月に新たに立ち上がった新団体「つくばトレイルガーディアンズ」のキックオフ会に行ってきました。もちろんMount Tsukuba編集部もメンバーになっております。

標高877mの低山とはいえ、遭難事故なども少なからず発生している筑波山。「つくばトレイルガーディアンズ」は、そんな筑波山の登山道の見守りやメンテナンスなどが活動の中心になります。

2020年からの本格始動を前に、2019年12月22日(日)に行われたキックオフ会と、初回の活動をレポートします!


 

つくばトレイルガーディアンの基本ルールは、「Safe」「Sustainable」「Share」(3つのS)。定期的に山道を巡回し、メンテナンスすることが主な活動です。

初代会長を務めるのは、筑波山・霞ヶ浦広域エリア観光連携促進事業の中心人物であり、自身も山遊びが大好きな筑波大学芸術系 准教授の原忠信先生(以前、原先生にインタビューした時の記事はこちら)。
ちなみに原先生は現在、筑波山登山道の新サインの開発も行っています。2020年1月6日(月)まで、東筑波ハイキングコースに原先生作の新サインが仮設置されています。※このサインに関する一般調査を行っていますのでご興味ある方はこちらの記事を

そんな原先生の挨拶から始まったキックオフ会。
「会議も打ち上げも山でやるべき」という斬新かつ素敵なメッセージが印象的でした。

 

2018年に作成された筑波山のMount Tsukuba Trail Mapで、初回活動でまわるコースを確認。

今回は「東筑波ハイキングコース」「キャンプ場コース」「山頂連絡路」「白雲橋コース」「おたつ石コース」を回ります。ヤマレコで各自のデータを登録し、リアルタイムに情報を共有していきます。

 

 

実行班と事務班にわかれてパトロール開始。山の空気感はやっぱり気持ちがいい。

 

早速、筑波山を整備する有志たちと出会いました。

筑波山の水脈を守る会」として活動されているお二方。
沢の流れをよくするべく、障害物を取り除いているところだそうでした。

 

ものの10分で、目に見えて水流が改善されました。
偶然の出会いでしたが、他にもたくさん山を健やかに保つ方法を教えていただきました。

 

林道ゲートの手前。こちらは前から気になっていた倒木のポイントです。

みんなで力を合わせて、トレイル脇に避けました。もしチェーンソーがあれば細かくすることも容易いですね。

 

トレイルの状態が悪いと、通行する人がそれを回避するためにトレイルが広がります。

 

近くの土砂崩れのポイント。二次災害の恐れがあり、危険ですので近づかないようにしてください。

 

成人男性が半分入ってしまうほどの穴が空いていました。上の2つのポイントと同様に、林道ゲートから筑波高原キャンプ場の間には改善した方が良いポイントが集中していました。

このようなポイントは行政に報告すると同時に、自分たちにできることを検討していきます。

ちなみに写真上の方は、つくばトレイルガーディアンズの立ち上げメンバーのひとり、筑波大学大学院に在籍中の谷中理矩さん。谷中さんは南アルプスエリアでマウンテンバイク活動を行う「南アルプスマウンテンバイク愛好会」のメンバーでもあり、同団体でもトレイルづくりやトレイルの整備活動をしている山のエキスパートです。

 

筑波高原キャンプ場で休憩をとります。ここから見えるのは筑波山の北側に広がる桜川市。眺めがとてもきれいです。

 

こちらの「キャンプ場コース」にある倒木は動かすことができませんでした。チェーンソーがあれば少人数でも対策可能かもしれません。

 

筑波山の新サイン計画にも携わっている原先生。サインの示す方向が気になるようです。それぞれのコースでどんなサインが最適なのか、調査も兼ねて歩かれていました。

 

女体山頂に到着。

ここで実行班として参加されている久保田賢次さんにお話を伺うことができました。
久保田さんは茨城県石岡市八郷地区で生まれ、成人してからは東京で暮らし、山と渓谷社の編集長を務められました。

定年後に筑波大学大学院で山岳学位プログラムを学び、現在は修士2年。

日本アルプスやヒマラヤ山脈への登山経験もある久保田さん。地元の学校のベランダから見た富士山に衝撃を受け、若い頃は高い山ばかりに憧れていたそうです。

近年は故郷にある筑波山の懐の深さに惚れ込み、二ヶ月に一度は訪れるとのこと。

久保田さんはそこで、風景を見ながら歴史に思いを馳せることが醍醐味だとおっしゃっていました。今になって気づいた筑波山の良さ、それは故郷とも重なるそうです。

世界各地の山を知る、つくばトレイルガーディアンズの心強いメンバーです。

 

再び事務班と合流。コマ展望台の一角をお借りして報告会。
ここでもたくさんの意見が出ました。筑波山の未来に期待で胸がふくらみます。

 

引き続き「白雲橋コース」から「おたつ石コース」を下っていきます。
中間地点の「弁慶茶屋跡」のサインはちょっと情報過多気味。やや美観を損ねてしまっています。

登山者の多いコースはトレイルの整備は行き届いているものの、むき出しの金具が目立ちました。
原先生は金具で足を切ってしまった苦い思い出があるそうです。
また人口の丸太を模したものも滑りやすく、トレイルにはそぐわないという意見が。これらは怪我の元となる恐れがあるので、交換の検討を提案していきます。

 

木の板を使用している部分も、土の方がいいのではないかと言う意見が。

周囲の根もむき出しになっており、排水もうまくできていない様子。いかに水の通り道を考えていくかがトレイルの基本的な考え方だそうです。


 

写真は「つくばトレイルガーディアンズ」のメンバーTシャツ。2019年立ち上げ時のレアTです。

午後、無事につくばトレイルガーディアンズの初めての活動が終了。

実際にトレイルを歩くと、さまざまな問題が見えてきます。
「Safe」「Sustainable」「Share」の視点で、いかに多くの人が気持ち良く利用できるトレイルにしていけるか。これからも活動を通して、筑波山をサポートしていきます。

早速、上がった問題点は行政へ報告させていただきました。それと同時に私たちの手でも、どこまでできるのかを考えていきます。スローガンは「Share the Trail」!

写真・文/合田裕基(TURBAN)


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