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茨城県 筑波山で登山・ハイキング/コース&観光ガイド

Journal筑波山ジャーナル

2021.11.08| Book Review,MountBooks

Mount Books #16
山とは生きとし生けるもの
—『手塚治虫の山』手塚治虫

家の中でも、都会の真ん中でも、筑波山でも。開けば心は、山の世界へ。山がもっと好きになるブックレビューのコーナーです。今回は、手塚治虫氏による山をテーマとした10編の漫画を収録したアンソロジーをご紹介いたします。

手塚治虫の山

手塚治虫氏と山、一見ふしぎな組み合わせにも感じるかもしれないが、じつは手塚氏は、自然や動物を舞台とした作品が多い。同書には、山をテーマとした10編の漫画『魔の山』『山楝蛇』『山の彼方の空紅く』『モモンガのムサ』『モンモン山が泣いてるよ』『ブラック・ジャック -昭和新山-』『雪野郎』『落盤』『山太郎かえる』『火の山』が収録されている、アンソロジー作品である。

漫画はほぼ70年代に書かれたもので、時代性が色濃い。理不尽な戦争、不公平な差別、自然破壊。例えば『モンモン山が泣いてるよ』の主人公は、かつての手塚少年を彷彿とさせる、小学4年生のシゲル。シゲルはある日、山で不思議な雰囲気の青年に出会う。その青年は「自分には蛇神社の主・白ヘビが乗り移っている」といい、いろいろとシゲルに力を貸してくれるように。しかし、シゲルが中学生になる頃には、青年も戦場へ送られることに。自分の故郷が、戦争や開発などで切り崩されていくという悲しさが込められている。

欲にまみれた人間のなかで、山や動物のピュアネスが尊い。命の尊さ、と簡単に言うのも憚れるが、どの作品からも「生きろ」という自然からのメッセージを受け取ることができるはずだ。人間はもとより、山も動物も、万物すべてを「生命」ととらえていた手塚治虫の思想がつまっている。一体、あなたはどう感じるか。じっくりと考えたくなる一冊だ。

写真・文/峰典子


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