2021.11.11| Book Review,MountBooks
家の中でも、都会の真ん中でも、筑波山でも。開けば心は、山の世界へ。山がもっと好きになるブックレビューのコーナーです。登山にぴったりのこの季節、子どもと一緒に登山を始めるのに役立つ一冊をご紹介します。
子どもたちを山へ連れ出したいという、おとうさん、おかあさんは私の周りにも多い。しかし、子ども自身に積極的に山に行こうという意思がない限り、親はちょっとした仕掛けが必要になるだろう。温泉、川遊びに、ラーメン。船にバスにロープーウェイ…。
年齢や経験に合わせたごほうびがあれば、子どもは山に登りたくなるかも。それに大人だって。
タイトルこそ「親子で山さんぽ」と、可愛らしいタイトルだが、その中身はかなりディープ、かつ、実力派の一冊である。山への一歩を踏み出すための基礎知識や、37のルートガイドが掲載されており、そのひとつひとつに、ごほうびとなる立ち寄り処を紹介。飽きた! 疲れた! が連発しそうな子連れ登山での心配も和らぎそうだ。掲載されているアウトドアグッズもブランドモノではなく、100円ショップやコンビニで手に入るものを紹介。最初からいきなり色々と揃えるのはちょっと…と億劫になってしまう親の気持ちにフィットしている。
自然豊かな公園からはじめ、乗り物を使った登山、そして冒険を楽しめる山、いつか挑戦したい絶景の山と、親子で一緒に登れる山を経験に沿ってガイド。いきなり山に登らず、自然に触れるところからお薦めし、初心者を置いてきぼりにしない編集が素晴らしい。
対象年齢は3歳くらいから小学校高学年くらいまで。まずはおにぎりを持って公園に行くところから始めていこう。
写真・文/峰典子