2021.07.27| 服装
登山初心者に最適の筑波山。筑波山から登山を始めようという方も多いのではないでしょうか。そんなときに悩みがちなのが、山に着ていく服装。そこで、季節ごとのオススメの服装をアウトドアショップ「Namche Bazar(ナムチェバザール)」監修でお届けします。NGな服装や登山初心者にオススメの持ち物などのアドバイスも! 装備の基礎知識を身につけて、筑波山へ出かけよう!
筑波山は山頂と平地との気温差が大体5℃違うと言われています。その5℃の気温差によって夏は納涼、冬は雪景色を楽しむことができます。
基本的に登山の服装は運動による発汗、急な天候の変化に対応するため、レイヤリング(重ね着)が前提になります。筑波山頂まで登山される方は以上のことを頭に入れて服装を選ぶことをオススメします。
それではここで本格的アウトドアショップ「Namche Bazar(ナムチェバザール)」さんに教えていただいた、筑波山登山のおすすめコーディネートをご紹介します。
男女別、四季ごとの登山コーディネート。そしてロープウェイ&ケーブルカーを利用した山頂散策のみのコーディネート。それぞれをアウトドアのエキスパートから間違いないアイテムを教えていただきました。筑波山に行く前にぜひお役立てください。
春と秋は気候も気温も快適で、筑波山では最も登山に適したシーズン。この2シーズンは基本的に同じような服装でOKです。
<ベースレイヤー>
「ベースレイヤー」とは、肌着のことです。一年を通してベースレイヤーは必要になりますが、選ぶときに何を重視するべきかは、「保温性」と「速乾性(汗の乾きの速さ)」の2つ。
暑い季節に、汗の渇きの速さが重要なのはもちろんですが、逆に涼しい&寒いシーズンでも、動けば汗をかくので汗の渇きが遅いとカラダが冷えしてしまいます。つまり、いつでも乾きは速いに越したことはありません。
ちなみに、地肌に近いものが暖いほど暖かく過ごせます。ベースレイヤーは、シーズンによって生地の厚みを変えてみてください。
吸水速乾性があるものなら、登山用のものでなくてもOKです。
—春・秋のベースレイヤー例—
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<ミッドレイヤー>
ベースレイヤーの上にくるのがミッドレイヤーです。
春と秋は軽くて暖かいフリースがオススメ。きちんと手入れをすれば、10年くらいは持ちますよ。
春の中盤過ぎや、秋の序盤など暖かな季節は、ベースレイヤーにアウター(ウインドブレーカーやソフトシェルジャケット)を羽織るだけでも十分です。
—春・秋のミッドレイヤー例—
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<アウター&パンツ>
パンツは一年を通して動きやすく、速乾性・透湿性に優れたトレッキングパンツを着用しましょう。
アウターに関しては、ウインドブレーカーかソフトシェルジャケットを。
風の強い日は天気が良くても結構冷えるのでウインドブレーカーがおすすめ。
ソフトシェルシェルジャケットは風を通しやすいですが、透湿性や着心地に優れているので、一年中通して使える万能アウターです。
—トレッキングパンツ例—
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近年は特に暑いので、夏はベースレイヤーとトレッキングパンツで十分。
ベースレイヤーは日焼けや怪我防止、虫対策のために「長袖」が基本ですが、真夏になれば半袖になる場面もあります。ただやっぱり夏の紫外線はかなり強いので、紫外線対策としても長袖がおすすめではあります。
また、上に行くほど気温は下がるので、ソフトシェルジャケットなどを一枚忍ばせておくのも有効です。
—夏のベースレイヤー例(半袖の場合)—
※撥水性があり汗を外に逃がしやすくなります。この上に速乾Tシャツなどを着るのがおすすめ
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筑波山のような低山であれば「春・秋」の服装のミッドレイヤーを変更すれば十分です。
具体的には、フリースをインサレーション系のジャケットに変更すると寒い日も心強い!
また通年使えるトレッキングパンツですが、冬の場合はこれ一枚ではちょっと寒いのでアンダーウエアのベースレイヤーとしてタイツを履く場合があります。動き出すと暑くなるんですけどね。足は汗をかきづらいので、寒い日は一枚履いておくと快適です。
それから体感として風を通さないことも大切。特に寒い日はアウターのソフトシェルジャケットをウインドブレーカーに変更するのもありです。
軽い散策の場合でも、Tシャツは化学繊維のものがベストです。吸水速乾性のあるTシャツに、ウインドブレーカーがあると安心です。
筑波山の登山道は未舗装路なので、トレッキングシューズはマストですが、山頂付近のみの散策であればローカットでも大丈夫。スニーカーやランニングシューズは底が柔らかすぎるので疲れてしまいます。
最低限の底の硬さとクッション性があるトレランシューズもおすすめですが、デメリットとして防水性がありません。短時間の散策であれば、途中で雨に降られるリスクはそこまでなさそうですね。
登山全般に言えることですが、帽子もぜひご持参を。夏は特に。
—NGな服装—
デニムパンツに代表される、いわゆる綿素材のボトムス。また、Tシャツも綿のものは適していません。綿素材は不快感が高くなります。靴もスニーカーは滑ったりして危ないので避けるようにしましょう。
—最近人気のアイテム—
ポリエステルなどの化学繊維は速乾性があり適してます。また、保温性と速乾性を備えたウールもおすすめ。ただし、ウールのセーターは暑すぎるため、ベースレイヤーでウール素材のものを選ぶと快適です。なかでもメリノウール(ウールとポリプロピレンをミックスさせた素材)は保温性があって乾きも速いです。薄手なので夏でも使えますよ。
ベースレイヤーで最近注目度が高いのは、finetrack(ファイントラック)などが発売している撥水素材のアイテム。汗を外に出してくれますが、表に撥水加工をしてあるので、水分が内側に戻ってくることがありません。その上に速乾性のものを着ていれば、汗が逃げる道筋ができるので快適で、最近主流となっています。
また、特に夏はポリエステルのベースレイヤーがおすすめ。普段着としても快適に使えます。
ナムチェバザールの平岡さんに聞く、みんなが知りたい登山の服装一問一答!
Q. 登山にジャージはダメですか?
ジャージは素材でいうと理にかなっています。汗も乾きますし、ストレッチも効いていて動きやすい。ただ、風を通しやすいので、平地での普段の運動にはいいですが、天候の変化には対応しづらくなります。登山にはおすすめできないですね。
Q. 電車内やバスでも登山の服装のままで大丈夫ですか?
もちろん大丈夫だと思いますが、帰りのことを考えると、靴が汚れていたりすると、電車やバスの中が汚れてしまうなど、マナー的によくないので各自注意していただきたいですね。
また、ストックやザックを持参する場合、公共交通機関での混雑時の扱いには注意が必要です。ストックをザックに挿しっぱなしにするのは、結構危ないです。
Q. 最適な飲み物や行動食を教えてください!
夏は電解質水や、塩熱サプリ。このあたりは登山においてとても理にかなったものなので、摂取するといいですね。用意しづらければ、スポーツドリンクもいいですけどね。
用途は異なりますが、真水は絶対に持って行った方がいいですよ。万が一怪我をしてしまったときなど、傷口を洗うのにも使えます。
Q. その他に筑波山登山でオススメの持ち物を教えてください!
速乾性のタオル。荷物の持ち歩き用にザック、それから登山のサポートが欲しい方はストックもおすすめです。
コロナ下ではマスクが必需品となりますが、登山時にマスクをするのは結構息苦しいので、チューブ型ネックゲイター(ネックウォーマー)がオススメです。アウトドアにも最適ですが、シチュエーションは問わないので、1つ持っておくと便利ですね。ジムなどでも使われる方が多いみたいですよ。
それからトレランシューズも近年は登山靴として人気です。
そして最後にアウトドアウエアとして、とてもオススメのアイテムがあります。
それがレインウエアです。
雨が降っているときはもちろんこれに敵う装備はないんですが、そのほかにもかなり用途があります。
たとえば急に風がガンガン吹いてきたときにも、レインウエアをアウターとして活用すれば風をシャットアウトして体温の低下を防止できます。またレインウエアはパンツもあります。低い山でも高い山でもレインウエアの上下は必要です。
特に初心者の方は持っていないことも多いですが、雨が降らなかったら着ない、寒くなかったら着ない、でも何かあったときに身を守るものとして、レインウエアは大切です。そこまで出番はないですが、ないと困るのがレインウエアなんです。
筑波山をはじめどんな山でも必ず持って行ってほしいというのが、正直な気持ちです。重量もそこまであるものではないので、ザックに入れておいて後悔はしないと思いますよ。
大げさな話かもしれませんが、救助が必要な状況に陥ったときなどにも、着るものがないと命にかかわります。万が一のときに、しっかりとした装備が自分を守ってくれます。レインウエアもそのひとつです。筑波山のような低山でも、アウトドアの厳しい側面は想定しておいた方がいいです。
ちなみにレインウエアは長く使えるアイテムですので、最初の段階でしっかりとしたものを選んでおくことで、買い直して余計なお金がかかることもありません。雨具は特にそうですね。安いものは雨は防げますが蒸れが逃げないので、結局びしょびしょになってしまいます。それではないのと一緒になってしまいます。
—おすすめのレインウエア—
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Q. 登山服のお手入れ方法は?
フィルムがついてるようなアイテムは、洗わないと脂分が固まって付着してしまい、水のはじきが悪くなってしまいます。
すべてのアイテムに言えることは、洗濯のときに柔軟剤を使わないことですね。柔軟剤はアウトドアウエアの天敵です。速乾性や防水性を落とす可能性があります。
ですので洗濯の際は柔軟剤が入っていない洗剤を使うか、アウトドアショップで売っているアウトドアウエア用の洗剤(1,500~2,000円程度)を使って洗濯すると、ウエアに与えるダメージが最小限で済みます。ナムチェバザールでも扱っていますよ。
専用の洗剤ではなくても、少なくとも普段の洗濯物とは分けて、面倒でも柔軟剤の入っていない洗剤を使用してくださいね。
——平岡さん、ありがとうございました!
茨城県つくば市にある「筑波山」。標高は877mと日本百名山の中では一番低く、難易度ごとに10種類ものコースがあることから、登山好きはもちろん多くの登山初心者にも親しまれています。
また、広大な関東平野にどんとそびえる山ですから、山頂からは関東平野を一望する眺めを楽しむことができ、自然の中の撮影スポットがたくさんあります。
関東近郊であれば日帰りもでき、季節ごとの変化を気軽に味わうことができることも大きな魅力です。
登山コース別難易度と見どころはこちらをご参照ください。
筑波山登山コース一覧
コース別最寄りの駐車場はこちら。
筑波山駐車場完全ガイド
【電車・バスの場合】
つくばエクスプレス「つくば駅」より「つくばセンター」バスターミナルから筑波山シャトルバスで約40分。「筑波山神社入り口」下車徒歩5分。
【車の場合】
東京方面から
・常磐自動車道「土浦北IC」より国道125号線を経由して約20km
・首都圏中央連絡自動車道「つくば中央IC」より県道19号線と国道408号線経由で約22km
・首都圏中央連絡自動車道「常総IC」より国道294号線と国道125号線経由で約26km
栃木方面から
・北関東自動車道「桜川筑西IC」より国道50号と県道41号経由で約20km
取材協力:株式会社ナムチェバザール
ナムチェバザール水戸店 茨城県水戸市末広町2-2-7 TEL:029-231-884