2020.02.20| 白雲橋コース
筑波山中腹の筑波山神社から女体山頂まで登り切る、筑波山最長コース。コース上にある見事なアカガシ純林は特に見物です!
Trail2 白雲橋コース Shirakumobashi Trail
区間:筑波山神社~女体山頂
距離:2.7km
所要時間:Up 140min / Down 90min
難易度:★★★
筑波山神社から弁慶茶屋跡を経由して、女体山頂を目指すコース。巨岩や奇岩も多く点在しており、見所も満載です。
比較的傾斜は険しく、全長2.7 kmながらも、登り140分の所要時間は全コース中でも最長。遠足等ではつつじヶ丘から「おたつ石コース」を出発、弁慶茶屋跡を経由して「白雲橋コース」に入ることが多いですが、スタートから「白雲橋コース」を選択すれば、国内でも珍しいアカガシの純林を見ることができます。
ただし、コース中には岩場が多く、急傾斜の滑りやすい場所もあり、特に雨天時は注意が必要です。
それでは登山スタート!
筑波山神社の入口、江戸屋さんの目の前にある鳥居からスタート。
鳥居をくぐってすぐに、2019年11月1日に改修工事を終えた「御神橋」が見えてきますので、その右脇の道を進みます。
みよこの七味で有名な神橋亭を右手に見ながら、土産物屋さん沿いに階段道を進みましょう。
つきあたり右手にあるのが白雲橋。この橋の名前がコース名になっています。
白雲橋を渡ってすぐ、サインに沿って坂を登ります。
サインに沿って、まだまだ坂を登ります。
つきあたりにある鳥居をくぐり、いよいよ山道に入ります!
山道に入るとそこは別世界。常緑樹も多く、清々しいですね。
階段道を登っていきます。鳥のさえずりがきこえます。
分岐が見えてきました。こちらを左手に進みます。右手に進むと「迎場コース」になります。
木の根と岩で形成された階段道。ワイルドです。
この辺りは杉が目立ちます。
左手に「白蛇弁天」が。白い蛇が棲んでいるといわれ、白蛇を見かけると財をなすとの伝説があります。
そんな白蛇が都合よくいるなんてと思いつつ、お堂の正面に回ると、いるやん!! 白蛇様、私に財を!!
コホン。気をとりなおして、サインに沿って女体山頂を目指します。
先ほどより岩も大きく、傾斜もきつくなりました。ところどころ大木と呼べるような木もあります。
石垣のある広場に到着。そこそこ登ってきているので一息いれるには最適です。
広場から少し登ったところ、山道を遮るかたちで大きな倒木があります。
くぐれるほどのスペースはありますが、十分に注意をして進んでください。
比較的平坦な山道までやってきました。
右手にはアカガシの純林が広がっています。繊細な枝ぶりのアカガシの樹形はとても美しく、この一帯は筑波山の中でも幻想的な風景の1つです。
大きな岩の間を登っていきます。道幅も狭いので注意してください。
岩階段を登れば…
弁慶茶屋跡に到着。ベンチもあり、「おたつ石コース」との合流ポイントにもなっているので、多くの登山者が休憩ポイントとしています。
弁慶茶屋跡からでも、筑波連山の向こうに霞ヶ浦をのぞむことができます。
弁慶茶屋跡から登り出してすぐのところに、大きな岩があります。
その正体を振り返って撮影。こちらが筑波山の名物スポットの一つ「弁慶七戻り」。
頭上の大岩が今にも落ちそうで、弁慶も七回戻ったと言われたことからその名が付きました。斑れい岩は風化に強く硬いため、角ばった形になり、隙間に引っかかったようです。
少し登れば「高天原」があります。神々の世界を意味し、大岩を登ると天照大神を祀る「稲村神社」があります。
すぐそばに「母の胎内くぐり」があります。こちらは筑波山禅定の行場の一つ。狭い岩の間を抜けることで、生まれた姿に立ち返ることを意味しています。
少し進むと「国割り石」があります。太古の昔、集まった神々がこの石に線を引き、それぞれの行くべき地方を割り振ったと言われています。
続けざまに「出舟入船」。石の形が出て行く船と入ってくる船に見えることから船玉神を祀っています。
この辺りは平坦なポイント。少しアップダウンを経て進んでいきます。
こちらは「北斗岩」。天にそびえ立つ大きな岩。風化や侵食で周囲の斑レイ岩がなくなり、小さな独立峰として残った斑レイ岩の岩塊です。北斗星のように決して動かないことを意味しています。
迂回して進むこともできますが、北斗岩の一部をくぐって行くことが可能です。大人でも十分通れるスペース。ここはぜひくぐる方を選択したい。
なだらかな山道。女体山頂が目の前に見えています。
この辺りから大きな岩が多く、山頂も近いため傾斜がきつくなってきます。
山頂を目指すには右手。ここから山頂までは約200m。
左手を進むと筑波山神社の摂社でもある安座常神社(あざとこじんじゃ)があります。
すぐ側には大仏のように見える巨岩「大仏岩」があります。高さは15mあり、長谷の大仏様を彷彿とさせます。
大きな岩や狭い橋を通って山頂に向かいます。山頂付近は気温が低く、この辺りのように日陰になってしまう場所は寒い季節凍っています。注意して進みましょう。
女体山頂にあるお守りの販売所が見えてきました。天候によって閉まっていることも多いですが、開いていればここで御朱印を受けることもできます。
女体山頂に到着!
この日は快晴で、多くの登山者が集っていました。見晴らしはとてもいいですが、柵などがないので注意してお過ごしください。
つつじヶ丘方面。筑波連山も最東端の権現山までよく見え、地球の丸さを感じることができます。
こちらが筑波山神社本殿。筑波女ノ神様がいらっしゃいます。
標高877m。女体山頂からの眺めはどこを見ても絶景。
関東平野が一望でき、写真右手の男体山頂をのぞむことができます。ここから山頂連絡路(リンク)を使えば男体山頂に向かうことができます。
また女体山頂のすぐ側にはロープウェイの「女体山駅」があり、つつじヶ丘までを結んでいます。
弁慶茶屋跡までは森林の中を登って行く自然豊かなコース。途中にあるアカガシの純林は、一般的な森林とは趣が異なりかなり見ごたえがあります。
一方、弁慶茶屋跡からは筑波山の奇岩、巨岩が多く見られ、そのまま女体山頂を目指す「ザ・筑波山登山」といえる王道コースとなっています。さらに、稲村神社や筑波山神社の摂社もあり、心も体も一息ついて参拝することができます。
そして、女体山頂からの眺めは文句なしの絶景。白雲橋コースのように長い行程を経てからの登頂は、感動もひとしおです。
さて、今回の白雲橋コースをもって、公式10コースをすべてご紹介することができました。
実際に全てのコースを回ってみると、気分や登りごたえはその日によって選べるので、頻度を増やして親しめる山だということが分かりました。言うなれば日常使いができる山。そしてちょっとした前知識があるだけで、筑波山での楽しみは倍増します。
100名山で一番低い山。ではなぜ筑波山は100名山になることができたのでしょう。
私たちもその魅力や歴史を紐解いていく段階ではありますが、その懐の深さに感激を覚えることがあります。
魅力度ランキング最下位の茨城県と同様に、本当に茨城県らしい山だと思います。メディアも少なく、アピールも下手。でも訪れて見たら、出会う人はみんな親切、自然は豊かで気分がすくことばかりでした。
私たちも体当たりでお伝えしていますので、登ってみての実感は人それぞれあることでしょう。これまでのコースレビューも含め、参考程度に役立てていただければ幸いです。
合言葉は「Share the Trail」! ではまた筑波山で!
写真・文/合田裕基(TURBAN)