筑波山麓の自然を、親子で遊んで学べるプログラム「筑波山麓自然学校」。冬の自然の魅力いっぱいのイベントにお邪魔してきました。
筑波山の中腹にあるつくば市のアウトドア施設「筑波ふれあいの里」で行われている「筑波山麓自然学校」。虫採りや沢遊び、自然探検や工作など、親子で楽しみながら筑波山麓の四季の自然に触れあえるプログラムを、年間を通じて行っている親子向けのイベントです(年10回)。
なんと今年で18年目。長く続いているのも納得の、楽しくて内容が濃くて、参加すれば間違いなく自然が大好きになってしまう、素敵なイベントです。
そんな筑波山麓自然学校で、12月15日(日)に行われたのが「森の散策とクリスマスクラフト」。筑波ふれあいの里の敷地内の森で集めてきた素材で、オリジナルのリースやクリスマス飾りを制作するという内容。幼児〜小学校低学年くらいまで、たくさんの親子が参加しました。
10時〜15時頃まで、お昼を挟んでの約半日のプログラム。休日のプログラムのため、パパとママも揃って家族全員で参加される方も数多くいらっしゃいました。写真は、開校式の様子。主催者である筑波ふれあいの里の所長さんのごあいさつの後、スタッフの方が、筑波ふれあいの里の自然の魅力や、一日の流れを説明してくださいます。
「筑波山の中腹、標高200〜250mにある筑波ふれあいの里は、筑波山と里山がちょうどぶつかる位置にあるそう。筑波山の手つかずの大きな自然と、人と自然が共存しながら形づくられてきた里山の自然。2つの自然を感じながら、プログラムを楽しんで!」(スタッフの永谷さん)
ちなみに筑波山麓自然学校のプログラムは毎回とても人気が高く、ほとんどの回が抽選になるそう。今回もキャンセル待ちで参加しました!という声も聞かれた人気ぶり。毎回、プログラムの開催月の月初に企画運営を担当しているつくば環境フォーラムのWebサイトで申し込みを受け付けているそうです。
つくば環境フォーラムは、筑波山や里山の環境保全や子どもたちへの自然環境教育などの分野で活動されているNPO法人で、写真は代表の田中ひとみさんです。
フィールドワークの経験も知識も豊富な、自然のプロたちから自然の話を聞きながら、植物などに実際に触れていく贅沢なプログラムです。植物のこと、虫のこと、野鳥のこと……田中さんをはじめ、つくば環境フォーラムのスタッフの皆さんは、みなさん生き字引レベルでとにかく自然のことをなんでも知っています。お話も面白くて、大人でも自然への興味が湧きまくってしまう。本当に、親子で楽しめるイベントです!
開校式のあとは、いよいよ森の散策がスタート!
クリスマス飾りに使う素材を集めに、筑波ふれあいの里の敷地内を探検します。
こちらは途中で見つけたヤマコウバシという樹木。葉っぱを揉むと、ハーブのようないい香りがします。みんなでもみもみ。
早速、素材を見つけてくる子どもたち。どんぐりやら松ぼっくりやら。
冬の森は草花は少ないけれど、子どもたちの宝物はたくさん落ちています。
下の写真はサネカズラ。小さな赤い実がクリスマスっぽい。
藪をかき分けていった先にある森の中で、リースの土台となる蔓を収穫します。
吸盤や根っこ、巻き付きなど、いろんな方法で木にくっついて成長する蔓たち。
巻き付くタイプの蔓は木を締め付けてしまうことから、木にとってはいちばん負担になる蔓だそうです。
リースの材料を収穫しながら、木も元気になる。
「みんなのお陰で、森が少し綺麗になったよ」と、スタッフの川村さん。なんだかちょっと嬉しい気持ちに。
大量の蔓を収穫したあとは、最後に焚き火でマシュマロを焼くための串を調達します。目当ては篠竹。細長くて、変な汁なんかが出てこない。これがマシュマロ焼きにはぴったりなんだそうです。
1時間ちょっとの散策を終えて、拠点に戻ってきました。
集めてきた材料の名前などを教えてもらっていると、あとから戻ってきたスタッフの方が、森で死んでいた小鳥を偶然に見つけてきました。
ジョウビタキという種類の鳥で、羽根のところの白い模様が着物の「紋」に似ていることから、紋付き鳥とも呼ばれるそうです。アラスカのほうから飛んできている鳥で、こちらは体色からオスだそうです。
ケガをしているので、ほかの鳥に襲われてしまったのではないか?とのこと。
子どもたちはみんな興味津々。触ってみたい!という子もたくさんいたけれど、鳥インフルエンザの感染リスクがあるため、素手では触らないようにとスタッフの方。手袋をはめて触ってみている子もいました。
その後は、お待ちかねのランチタイム!
この日のメニューは、手作りのマカロニスープとパン。そして手作りジャム。
スタッフの皆さんが朝から仕込んでいてくれた、ほっかほかのスープが恋しい。そして、懐かしい給食バットに入ったパンも、すごーく美味しそうです。
みんなおいしそうに食べてます。
たくさん動いたあとの食事は、本当においしいからね。
筑波ふれあいの里のバーベキュー場が、今回の拠点。ランチも制作もここで行いました。
ちなみに筑波ふれあいの里は、キッチン付きのコテージやキャンプサイト、さらに1泊2食付きの宿泊施設、さらにそば打ち体験施設なども備えた施設(食事がおいしくて格安と評判!)。最近はソロキャンプの利用も多いのだとか。
冬のコテージはこたつも完備で、敷地内には浴場もあったりで、お泊まり忘新年会にもぴったりな気配。
富士山まで見渡せる眺望や豊かな自然。そして背景には筑波山のツインピーク。大人も子どもも、いい時間が過ごせます。
さて、お腹いっぱいになったあとは、午前中に集めてきた素材を使って、クリスマス飾りをつくります。
リースの土台となる輪っかは、午前中に収穫してきた蔓を、うまく丸めて作っていきます。輪っかは買うものとばかり思っていた思考回路に一撃を浴びた気分。
テイカカズラや藤、アケビなどいろんな種類の蔓が取りそろいました。
森散策で集めてきたもの以外にも、スタッフの皆さんが集めておいてくださった素材がいっぱい。
スダジイ、コナラ、カシワなど多彩などんぐりや、ブルーベリーのような紫の実がかわいいシャリンバイ、小さな赤い実のつるバラ、オレンジ色が鮮やかなカラスウリなど、クリスマス気分を盛り上げてくれる自然素材が並びます。
ほかにも毛糸やリボンなど、いろんな飾りを用意してくださっていました。
蔓の丸め方講座中。ぐりぐりと巻きながら、うまく形をつくっていきます。
葉っぱ付き、枝だけ。個性もいろいろな輪っかができあがっていきます。
黙々と、思い思いのリースと作り上げていく皆さん。
子どもたちには紙皿のクリスマス飾りづくりが人気。
ただし、こういうもくもく作業は、大人のほうがハマりがち……というわけで、席に座ってリースを作っているのは徐々に大人だけになり、子どもたちは走り回って遊び始めます。やっぱり、そうなる。
リース制作の傍ら、焚き火が始まりました。
この火で、最後にマシュマロを焼いて食べるんです。
きれいなリースやクリスマス飾りが、続々とできあがりました。
最後にみんな自分の作品を持って記念の一枚。
そして最後は、お待ちかねのマシュマロ焼き!
午前中に集めてきた篠竹の先にマシュマロを刺して、熾火(おきび)の遠赤外線でじっくりと焼いていきます。
クラッカーに挟んで食べると、さらにおいしい!
子ども達もいい顔してます。
自然と触れあう楽しさを、いっぱいに感じられた半日。
初めて知る植物の名前や生態も多く、大人にとっても充実した時間が過ごせました。そして、身近な場所にこんなに豊かな自然があることが、嬉しいような誇らしいような。
「つくばの市街地に住んでいて、普段は自然の中で子どもと遊ぶ機会が少ないので、いい機会になった」「大人も夢中になった」など、大満足の声もたくさん聞くことができました。リピーターが多いというのも納得!
年明け2020年1月1日(水)〜15日(水)には、1月26日(日)開催の「竹ご飯と竹工作」(親子対象)、2月8日(土)開催の「100キロのみそづくり」(一般・小学生以上親子対象)の申し込みが行われます。
つくば環境フォーラムのwebサイトから1月1日(水)〜15日(水)の期間に申し込みできますので(申し込み多数の場合は抽選)、興味のある方はぜひ、申し込んでみてくださいね!
写真/合田裕基(TURBAN)
文/根本美保子(TURBAN)