2020.11.18| ラーメン
すべてのメニューが自家製のこだわり店! ラーメン550円、ハーフラーメン300円、餃子250円、もつ煮200円とどのメニューも超リーズナブル。打ちたて麺があっさりスープに絡まる佐野ラーメン的温もりの味わいが大評判の「名のないラーメン」の真相に迫ります! おつまみも充実、登山後の祝杯にも最高です!
住所:茨城県つくば市北条4093
営業時間:<昼の部>11:00〜14:00 <夜の部>17:00〜20:00 ※月・火・水は昼の部のみ営業
定休日:木曜・毎月最終週のみ水曜も休
Tel:029-867-5152
つくば市北条にある筑波山周辺の人気ラーメン店「名無し」。
どこか昭和的な懐かしさを感じるシンプルなラーメンは「正油」「塩」「味噌」と定番の味を取り揃えています。トッピングも充実。サイドメニューの「餃子」や「もつ煮」も大人気。
価格はどのメニューもとてもリーズナブルですが、茨城県産の食材を中心に、材料はすべて国産。何より麺、チャーシュー、メンマ、もつ煮、ラー油に至るまですべて自家製、餃子は皮から手作りしているそうです。これはもう、良心の塊です。
ちなみにお子様ラーメンはパックジュースが付いて300円。お年寄りや女性にも嬉しいハーフサイズのラーメンは300円と、痒いところにも手が届くメニューと、懐にやさしい価格設定。小さな子供からひいおじいちゃん・ひいおばあちゃんまで、3世代どころか4世代でも安心して食べに行くことができるラーメン店はなかなか見当たりません。
もちろん、登山のあとにもぴったり。下山後の腹ペコ状態に、正油ラーメン、焼き餃子ともつ煮(小)を食べてもジャスト1,000円(税込)! これは行くっきゃない!
「自家製麺 名無し」は、筑波山麓のバスターミナル「筑波山口」からは車で約9分の距離。また、筑波山系の人気の山「宝篋山(ほうきょうさん)」麓の「小田休憩所」からは車で約5分のところにあり、2つの山からベストアクセスな場所にあります。
見通しがよく走りやすい幹線道路「国道125号線」沿いの交差点の角にあり、道に迷うことはほぼありません。筑波山方面から行くと左手に、宝篋山方面から行けば右手にあります。
店舗の脇には14台の駐車スペースがあり、茨城県の名山や「つくば霞ヶ浦りんりんロード」に近い場所柄、登山客やサイクリストのお客さんも多く訪れます。
また、バスでのアクセスには関東鉄道、筑波山口~土浦駅間の「平沢入口」が便利。
そこから約500mのところに「自家製麺 名無し」があります。
おいしくてリーズナブル、そして店の雰囲気もあたたかみがあって居心地がいい名店だけあり、特に週末は行列ができるほど混雑しています。
気になる穴場の時間帯は、月曜日と火曜日の開店直後(開店は11時)。それでも11時半にはすでに満席の状態となってしまうほど愛されまくっています!
それではここで、店主に教えていただいた「自家製麺 名無し」の人気ラーメンベスト3をご紹介します!
第1位「正油ラーメン」550円税込
王道中の王道を行く正油ラーメンが堂々の第1位!
鶏ガラとげんこつベースのあっさりとしたダシが旨いスープは、登山のあとの疲労感にやさしく微笑んでくれるような、昭和を感じる懐かしいほっこり味。佐野ラーメンを思わせるもちもちとした食感の自家製麺がスープによく絡む、まさに正統派としか言いようのない、幸せラーメンです。
ネギにチャーシュー2枚、ナルトと海苔がのって550円。文句なしの一品です!
第2位「正油チャーシュー麺」750円税込
なんとチャーシューが6枚ものってこのお値段! (※味噌、塩の場合は5枚です)
店主もいち推しのチャーシュー麺は、赤字ギリギリでの提供とのことです。腕肉と肩ロースの2種類のチャーシューは、麺を大盛りにすればもう1枚増やしてくれるというのだから、店主の太っ腹に感涙!
第3位「塩バターコーンラーメン」650円税込
永遠のアイドル「塩バターコーンラーメン」がここで登場!
ほんのりごま油が薫る、懐かしくも安心感を呼び覚ましてくれる塩スープは、まろやか系の正油ラーメンに対して塩気がキリリと効いた、筆者もオススメの一杯です。
普通の「塩ラーメン」が550円なので、100円足すだけで魅惑の塩バターコーンに進化させられることに感謝。
ちなみに「スープ餃子」(300円)にもこの塩スープが使われており、こちらも病み付きの味です。
第1位「焼餃子」250円税込
ラーメンにとって不変の相棒といえば、やっぱり焼餃子! もちもちとした肉厚の皮が美味しい手作り餃子は、皮と餡との一体感も抜群! 自家製ラー油がさらに旨みを引き立ててくれます。ひとつひとつが大ぶりで、食べ応えも十分です。
しかも、ラーメンハーフ(300円)と餃子1人前(250円)なら、たったの550円。いろいろ食べたい女性にもおすすめの頼み方です。
第2位「もつ煮(小)」200円税込
丁寧に下処理されたもつ、人参、大根、こんにゃくには味がしみしみ! 白味噌がやさしい、お手本のようなもつ煮です。みんなとシェアできる普通サイズのもつ煮(400円)もご用意! とうがらしの辛みが効いた「辛いもつ煮」まであるんだから、辛党やのんべぇもどんとこい!
ちなみに普通サイズのもつ煮はひとりで食べるには量が多いので、ひとり用にサイドメニューとして頼むなら「もつ煮(小)」がおすすめです。
第3位「ゆで餃子」250円税込
ここで登場しました、ゆで餃子! 既出の「スープ餃子」(300円)とは異なり、こちらはお湯で茹でたシンプルな味わいが魅力。もっちもちの皮が美味しく、ブースト状態で気がつくと完食している現象が起きます。
スープ餃子とは僅差でのランクインとなりました。派閥がわかれそうな2品ですよね。
※焼餃子、生餃子、冷凍餃子、もつ煮はテイクアウトも可能。お土産にもどうぞ。
こんなに美味しいラーメンがなぜこの値段で!? そして入口の上に書かれた名のないラーメンとは?
ここからはそんな「自家製麺 名無し」の核となる部分にお答えいただきました。
店主の会田好信さんは、つくばが研究学園都市として発展する前の頃、農家のご両親の元に育ちました。
外食は初詣の帰り道くらいだったとおっしゃる幼少期のある日。ふとお父さんが連れてってくれた、名前も覚えていない一件のラーメン店。今のつくば駅辺りにあったといいます。
ご夫婦で営んでいたそんな質素なラーメン店。もしも自分で店をやるならあんな感じがいいなと、なんとなくずっと頭の中に残っていたそうです。
そんな原風景を元に、大人になった会田さんは飲食業界を渡り歩き、最終的に群馬にあるラーメンと餃子のみで営業していたラーメン店で1年間修行し、自身の店を開業しようと決心しました。
そして2010年3月15日。
ここつくば市北条に「自家製麺 名無し」をオープン。
北条を選んだのは、「お年寄りのいる田舎エリア」に店を出したいと考えていたから。街中に出店し味を若い人に合わせると、好みの幅が大きくなる。でも、会田さんが作りたかったのは、毎日でも食べられる値段をおさえたシンプルなラーメンだったからです。
一方で、値段はおさえても材料には手を抜けないと、国産でなるべく地元・茨城産のものを使用。
数を売らなければ利益が出ない価格設定に踏み切りましたが、オープンして最初の2年くらいはお客さんはまばらでした。しかも、オープンから約1年の2011年3月には東日本大震災が起き、2012年には北条の竜巻被害、落雷被害もあり前途多難だったそうです。
「最低限の人数で最低限の品数をなんとか作ってきた」と語る会田さん。最初は正油ラーメンと焼き餃子のみだったメニューに、味噌と塩を増やし、ゆで餃子やスープ餃子といったメニューも追加。限られたスタッフでも提供しやすく、それでいてお客さんには付加価値を感じてもらえる、考え抜かれたメニュー構成が徐々に完成していきました。
「使いきれないものは使わないことが信条です。価格設定的にも食材が廃棄になってしまう時点でアウトだと思っていますから、うちはロスがまったくありません」
飲食店にロスは付きものだと思っていたので、そんな言葉に面くらっていると、続けてこう話してくれました。
「売る分しか売らない。だから全部自家製でやってるんです。その日の数をその日に仕込むというのは面倒臭いことではありますが、真っ当に利益を出す唯一の仕組みなんですよ。だからうちは全部ギリギリでやってます」
名無しの価格設定の裏側には店主の一貫した姿勢と工夫があったのです。
「目印は筑波山なんです」。筑波山や宝篋山がすごく近くにあることで、守られているみたいで心強いと話す店主。この辺りは何もないから、店を覚えてもらうためにもひと役買ってくれているそう。筑波山の形がきれいに見える場所だから、駐車場から写真を撮る人も多いそうです。
そして最後に、会田さんが力強く言ってくれました。
「今までも値上げはしてこなかったし、これからも値上げしないで真っ当に続けていければいい」
お父さんと食べた、お店の名前も覚えていないラーメン。それを題材にした心にまで沁み渡る一杯。この話を胸に、これからもまた名無しのラーメンを食べに行きたい。
写真・文/合田裕基(TURBAN)
>そのほかの筑波山周辺おすすめラーメン店はこちら
https://mount-tsukuba.com/journal/ramen_matome/
住所:茨城県つくば市北条4093
営業時間:<昼の部>11:00〜14:00 <夜の部>17:00〜20:00 ※月・火・水は昼の部のみ営業
定休日:木曜・毎月最終週のみ水曜も休
Tel:029-867-5152
つくばに住んで5年。筑波山に登るようになって3年。 自然の多いつくばで、少しづつアウトドアを楽しむようになりました。 株式会社ターバンのディレクターとして、筑波山周辺の取材を敢行。 長身でヒゲの男を筑波山で見かけたら、5割の確率で俺。