ハワイ島は火山から流れ出した溶岩で町が壊滅した歴史を持つ土地である。その熱いマグマは、今もなお活動中で、いつまた噴火するかもわからない。そんな場所での登山は南国にいることを忘れるほど、冷たく厳かな空気。SF映画のような景色が広がっていて……。

鈴木ともこさんの『山とハワイ』を読んでいたら、まさに、ハワイ島にある世界最大の活火山、マウナロアが噴火したというニュースがラジオから聞こえてきたので、こんなこともあるのかと驚かされた。前回の噴火から40年近くが経っており、いつ噴火してもおかしくないと言われていた矢先の出来事だったという。

状況が状況なので、堅い雰囲気で書き出してはみたが、絵のタッチはギャグ漫画風のそれであって、明るくほのぼのした性格の著者が自身の体験をもとにコミックを書いているので、とてもわかりやすい。ハワイというと、美しさや美味しさといった視点でのガイドブックが多く、ここまで火山を深掘りしたものはないのではと思う。火山登山を中心にトイレやコンビニ事情、マラサダやロコ丼のお店、道具を買いに立ち寄ったホームセンターなど、その内容は多岐に渡る。

とくに前半は山の構造やハワイの歴史について触れているページが多く、子連れでハワイへいくことがあれば予習として手にとっても良いと思う。どうして世界最大の山と呼ばれているのか。なぜ地元では神聖な場所とされているのか。理解してから山に足を踏み入れたなら、段違いに楽しめるだろう。

写真・文／峰典子

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『山とハワイ』
鈴木ともこ著 / 新潮社刊