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茨城県 筑波山で登山・ハイキング/コース&観光ガイド

Journal筑波山ジャーナル

2022.10.03| Book Review

Mount Books #24
無名の山で一杯グビリがいい
—『てくてく青空登山』安西水丸

家の中でも、都会の真ん中でも、筑波山でも。開けば心は、山の世界へ。山がもっと好きになるブックレビューのコーナーです。今回は、イラストレーター安西水丸さんによる山歩きにまつわるコラムとイラストをまとめた一冊。読んだ瞬間、山に行きたくなります。

てくてく青空登山

イラストレーターとして表紙絵や挿絵を描き、自らも小説や絵本、エッセーなどたくさんの作品を書き残した安西水丸さん。どちらかというと都会的な印象があったが、若い頃は2000メートル級の山を単独で登っていた山好きだという。生前に安西水丸さんが雑誌などで書いた山歩きにまつわるコラムとイラストをまとめたのが『てくてく青空登山』である。

タイトルにあるように、あくまでも好きなのは“てくてく”歩ける低山登山だという。500メートルくらいの山で、東京から日帰りできるくらいの場所で、できるだけ無名な山。服装も気負いがない。原宿の古着屋で買った1000円のネルシャツ。一澤帆布のリュックに、アーミーナイフとワイルド・ターキーのクウォーターボトル、ジッポのライターを入れ、桜の木の杖を持っていく。そこで「自分でつくったおむすびを食べ、スコッチをグビリと」やる。寝転んだり、本を読んだりもする。何を自慢するでもない、好きなやり方で自然を楽しむ様子を連想し、読んでいるこっちまでニコニコしてしまう。明日もし天気が良かったら、おにぎりを握って、ふらっとどこかへお出かけしようか。そんな風に思わせる、この季節にぴったりの一冊だ。

編集者、若菜晃子さんによる『MURREN BOOKS』シリーズ第1巻。ともに山登りを楽しんだという若菜さんによる解説文を読むと、無邪気でピュアな安西さんの人となりが、よりわかる。きっと今この瞬間も山に登っているのではないだろうか。スコッチをぐいっとやりながら。

写真・文/峰典子

 


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