山、というと忘れてはならないのが、きのこの存在ではないでしょうか。食べて美味しい、見て可愛い。そのルックスに魅了され、古今東西キノコグッズのコレクターがいるのです。

フランスでは19世紀から20世紀初めにかけて、広告文化の普及と時おなじく、商品のおまけカードがブームとなりました。石版印刷(クロモリトグラフ)で刷るので、通称クロモカード。企業名やコピーとともに刷られたイラストは、なぞなぞや寓話、季節の食べ物、子どもの遊びなど、多岐にわたったといいます。本書ではチョコレートのおまけについていた、きのこを描いたクロモカードを紹介。今までにない「きのこ事典」です。

フランス菌学会に登録されているきのこは約3万種。そのうち食用は1105種、日常的に食べられるのは20種、超美味しいと言えるのは片手くらいだとか。この本には、パリのきのこと呼ばれるマッシュルームから、目にも鮮やかな猛毒きのこ、初めて名を耳にする珍しいきのこまで、80枚の図版とコラムを楽しむことができます。

書籍は手のひらに収まるほどの小ぶりなサイズ。アンティークのウォールペーパーのような表紙に、ページのサイド部分は金に彩られ、ギフトにしたくなる要素がたっぷり。このシリーズ、他にも、鳥やバラ、天使や猫、魔女と素敵なラインナップがあるようで。まとめて眺めてみたくなりました。

文／峰典子

※筑波山の特別保護地区（山頂付近および南面）では、植物採取が禁止されていますのでご注意ください。