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茨城県 筑波山で登山・ハイキング/コース&観光ガイド

Journal筑波山ジャーナル

2020.03.31| Book Review

Mount Books #09
耳の先から尻尾までまるわかり
—『オオカミと森の教科書』朝倉裕

家の中でも、都会の真ん中でも、筑波山でも。開けば心は、山の世界へ。こんな時こそ、山がもっと好きになるブックレビューのコーナーです。

オオカミと言えば、小学校の図書室で読み耽ったシートン動物記を思い出す。とある牧場主から「牛がオオカミに襲われ困っている」との手紙が届き、オオカミの群れを追うことになったシートン。群れを率いていた古狼ロボは、何百頭もの家畜を殺し、牛をも引きずり倒す体力、どんな罠や毒も看破してしまう驚異的な賢さにより、魔王と呼ばれ恐れられていた。そんな現体験を元にした創作物語が「狼王ロボ」である。シートンはお得意の追跡観察で、ロボを少しずつ追い詰めていくのだが、子どもながらにオオカミの賢さに驚愕したものだった。

かつて日本では、山や森の守り神として崇められていたオオカミ。オオカミ研究を続ける著者による『オオカミと森の教科書』によると「草や樹木をシカなどが食い尽くさぬように調整し、生態系全体の中で替えがたい役割を担って生きてきた」のだという。世界のオオカミ分布図、詳細な生態、なぜ絶滅したのか、現在はどうなっているのか、そして未来は……? もののけ姫のように背中に乗ることはできるのか、ドッグフードは食べるのか、といった素朴な疑問にもたくさん答えており、家族全員で楽しめる一冊になっている。

とりわけ、童話「赤ずきんちゃん」や、映画「おおかみこどもの雨と雪」といった、フィクションのなかのオオカミを取り上げた章が興味深かった。子どもの頃にどんなオオカミと出会っているかによって、これほどに印象が大きく変わる動物も珍しい。読後にはすっかりオオカミ愛に満たされるはずだ。

文/峰典子

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