2020.01.06| Book Review,MountBooks
家の中でも、都会の真ん中でも、筑波山でも。開けば心は、山の世界へ。山がもっと好きになるブックレビューのコーナーです。
行くところまで行った、という感じである。ここ数年、小さいカバンがトレンドなのだが、究極に小さいマイクロミニバッグなるものが登場し、どう使いこなすかが課題となっているのだ。財布を持たずキャッシュレスなのは絶対で、あとはリップ一本、キーケースにiPhone、といった具合に、取捨選択にセンスが問われる。
万年大荷物、ドカドカ歩く身からすると遠い世界の話なのだが、そんな私でも、センスがよい人のカバンの中身には興味がある。手帳、文庫、ハンカチ、ポーチ、ツマミ食い用のお菓子…それらを見るだけで、持ち主の人となりがわかってしまうような気がする。セレクト眼に長けた人の話は、いつ見聞きしても面白いものだ。
山を頻繁に訪れる写真家・石川直樹の『ぼくの道具』は、著者が愛用している道具をまとめた本である。背負う荷物は少なければ少ないほどいい登山だが「すべて削ぎ落とせばいいというわけでもない」という。
登山しない人には無関係のように思えるかもしれないが、ほとんどが街の暮らしでも使えるモノばかり。乾きやすい下着、使いやすいドラムバッグ、スプレー式の化粧水なんかは、旅に持ってこい。トイレキットや折りたたみ椅子、速乾タオル、桃の缶詰は非常用として備えたいと思った。どれも著者のヘビーな生活に耐えた、堅実で丈夫そうなモノばかりだ。
新年を迎え、今年こそはミニマムな暮らしを、と考えている人には最適な一冊になるだろう。
文/峰典子
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