アメリカ最北端の州、アラスカ。極寒とオーロラ、白熊と氷の家。詳しくない人ならば、おしなべてそんな印象ではないだろうか。突然知らされた父の転勤によって、アラスカ・アンカレジ市で暮らすことになった高校生の著者にとってもそうだった。

到着後、初めて見たオーロラに酔って嘔吐したり、玄関に居座るムース(ヘラジカのことです)で学校に行けなくなったりと、洗礼を浴びながら始まった、ほんわか家族のアラスカライフ。休日に訪れた氷河クルーズや、自宅の周りで見られる動物といった、ダイナミックな大自然とのふれあいは羨ましくなるほどだ。

ティーンの素直な視点で描かれる高校生活ぶりは詳細に及ぶ。停電のなかキャンドルの灯りでこなす宿題、日の出の遅い冬に暗いなか歩く登校、犬ぞりレースを追う授業、白夜に夜更かしして友達と遊んだ日、国際色豊かなクラスメイトたち……。どれも新鮮なものばかりで、アラスカに住んだ気分になって読んだ。

学校のエピソード以外にも、父親がハマった鮭釣り、年末に行うガレッジセール、アンカレジ市内のショップ情報、長期休暇の過ごし方など、アラスカ文化の魅力を存分に味わえるコミックエッセイに仕上がっている。行くことがなくとも、楽しめるはず。

文／峰典子

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『アラスカ・ワンダホー！』
世鳥アスカ著 / イースト・プレス刊